子育て

高額療養費制度と子ども医療費助成は併用できる?突然の入院に慌てないために

子どもの入院費高額療養費制度とは?子ども医療費助成との併用はできる?

高額療養費制度とは医療費が高額になった場合に公的健康保険からお金が支給される制度です。

ひよママは、娘が病気になり入院した時に利用しました。
結果的に、小児がんという病気がわかってからは、小児慢性特定疾病医療費助成制度という、子どもの難病に対しての医療負担を軽減してくれる制度による助成を利用しました。しかし、その病気がわかるまでの検査や手術時はそのような制度は利用できなかったので、この高額療養費制度にはとても助けられました。

高額療養費制度を詳しく解説するとともに、手続き方法も紹介します。

高額療養費制度とは

子どもの入院時は検査だけでも意外と医療費はかさみます。
実際にかかった入院費を公開しているので気になる方は見てみて下さい。

子どもの入院費知って得する助成制度
子どもの入院にかかる費用は?知っておくべき助成制度は? 子どもが入院した時にかかる医療費について。日本ではすべての都道府県・市区町村で子どもの医療費を助成しています。入院の場合はどのようにな...

医療費が高額になった時、または高額になりそうな時に準備するのが、高額療養費制度です。

高額療養費制度とは
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まない

上限額は、年齢や所得に応じて定められていて、条件を満たせば更に負担が軽減されます。

1つの医療機関等での自己負担額(病院で処方箋を出された場合、薬局で薬をもらった代金も含まれます。)では上限を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は2万1千円以上であることが必要です。)を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります

上限額は70歳以上の人と69歳以下の人とで異なります。
子どもの場合の限度額は69歳以下なので、下の表にある限度額になります。

引用元:厚生労働省

例えば、年収500万円の健康保険組合に加入しているお父さんの子どもが入院した場合、「ウ」の欄の計算方法になります。
ひと月の医療費が40万円かかった場合
80,100円+(40万円-267,000)×1%=81,430円限度額になります。
小学校入学前の6歳までの子どもであれば2割負担なので、8万円を窓口で支払うと申請することで8万円全額が戻ってきます。

ひと月の医療費が100万円かかった場合だと、87,430円上限額になります。
2割負担の20万円を窓口で支払うと健康保険組合へ申請することで112,570円が戻ってきます。

ここでポイントになるのが、子どもには「子ども医療費助成制度」が適用されるという点です。適用範囲に関しては、都道府県・市区町村ごとに異なりますのでお住まいの市区町村のHPを確認してみて下さい。
「子ども医療費助成制度」が適用され、入院費や外来費が無料になる市区町村にお住まいの場合、高額療養費制度を利用してもなお自己負担になった分の支払額も助成されます
保険適用の治療費に関しては実質タダになるということです。
食費や差額ベッド代等、保険適用外の費用に関しては助成の対象にはなりませんので、自己負担となります。

また、子どもがお父さん(又はお母さん)の扶養になっている場合、扶養者の会社の健康保険組合が独自で付加給付金を支給している場合があります。
付加給付金とは医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、その超えた額が健康保険組合から支払われるものです。
健康保険組合ごとに給付の規定は異なるので確認しましょう。

いくつか助成制度を説明しましたが、流れとしてはこの順番です。

①高額療養費制度
かかった医療費のうち、上限額までは助成される。限度額を超えた金額が自己負担。
②健康保険組合の付加給付金
付加給付金がもらえる場合は、限度額まで支給される。(高額療養費制度利用後の自己負担額の金額を元に計算)
③子ども医療費助成制度
それでもなお自己負担額がある場合は、子ども医療費助成制度による助成を受けられる

まずは、高額療養費制度が適用になります
いろいろな助成制度がありますが、まず高額療養費制度の手続きを行う必要があります。

ひよママ
ひよママ
ひよママは娘の入院時、子ども医療費助成制度の適用対象外だったので、健康保険組合の付加給付金により経済的に助けられました。
健康保険組合では、ひと月に15,000円を超えた医療費は助成してくれたので、非常に助かりました。
今住んでいる地域では子ども医療費助成制度の適用対象なので、医療費が高額になった時は自己負担額15,000円が、子ども医療費助成制度から支給され、自己負担はゼロになっています

家族で医療費を合算できる世帯合算

子どもの入院や通院費だけでは、上限額を超えない場合でも、同じ月に家族が病院を受診した場合は、その医療費を合算し、高額療養費制度を利用できます
家族は同じ医療保険に加入している必要があります。

窓口で払った自己負担額を1か月単位で合算し、その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。
※ ただし、69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。薬局等での数百円、数千円の支払い分は合算できません。但し、2万1千円以下の領収書は医療費控除で使えるので捨てないようにしましょう!

合算して高額療養費制度を利用した場合、もらった支給額から子どもの医療費以外の自己負担分を按分して差し引いた金額が、助成対象になります。計算は役所で問い合わせてみると確実かと思います。

多数回該当

過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

引用元:厚生労働省

ひよママ
ひよママ
子どもの医療費はそもそも2割負担なので、入院や通院が長期化しない限りは医療費自体の自己負担はそこまで重くありません。それ以外の親の付き添いのためのお金なんかがかさみます。

高額医療費貸付制度

高額療養費は支給されるまでに約3ヶ月かかります。

その間の医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付を行う制度です。医療費請求書等を添付して書類を提出すれば利用可能です。

高額療養費受領委任払制度

高額療養費制度の手続きをすると、限度額適用認定証が発行されます。この認定証の発行までは約3ヶ月かかるので、手続きができていない場合は、一旦病院の窓口で医療費を自己負担する必要があります。
この高額療養費受領委任払制度は、市が高額療養費該当分を直接医療機関に支払ってくれる制度です。基本的には限度額適用認定証を発行する必要があるので、やむを得ない事情がある時にだけ利用できると考えてください。

高額療養費制度の手続き方法

高額療養費制度には時効があります。申請は、診察月の翌月の1日を起算日として、2年間で時効を迎えるので、それまでに手続きをしましょう。
加入世帯の世帯主が申請する必要があります。

限度額適用認定証の受け取り方

医療機関への支払いをする前に限度額認定証を受け取れば、窓口では限度額を差し引いた自己負担額のみの支払いで済みます
事前に手続きをする時間があれば、限度額認定証を受け取っておくことをおすすめします。

申請先は保険証を確認してください。

国民健康保険・後期高齢者医療制度はお住まいの市区町村の役所へ申請します。
協会けんぽは各都道府県の支部に郵送します。
国民健康保険組合・健康保険組合・共済組合は、ご自身で郵送手続きをするか、総務の方等に申請したい旨を伝えましょう。

交付までは郵送の場合1週間から10日程かかる場合があります。適用は各窓口に「申請書が到着した月の1日」からとなります。到着した月の前月に遡ることはできないので、入院が事前にわかっている時は早めに手続きをしましょう。

申請に必要なもの

健康保険限度額適用認定申請書
マイナンバー(個人番号通知書のコピー、マイナンバーの記載がある住民票、マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書のうちのどれか一つ)
本人確認書類(運転免許証のコピー、パスポートのコピー、その他の官公署が発行する写真付き身分証明書のコピーのうちのどれか一つ)

※低所得者は限度額適用・標準負担減額認定の申請書で申請します。住民税非課税の場合は被保険者の住民税の課税証明書が必要になります。

窓口で自己負担分支払い後、高額療養費を申請する方法

健康保険組合によっては、手続きが不要な場合があります。
国民健康保険・後期高齢者医療制度はお住まいの市区町村の役所へ申請します。
国民健康保険組合・協会けんぽ・組合健保・共済組合は保険証記載の保険者に問い合わせましょう。

申請に必要なもの

国民健康保険高額療養費支給申請書

領収書、国民健康保険証、印鑑、世帯主名義の通帳

※住民税非課税者が申請する場合は、マイナンバーが確認できる書類が必要です。

手続き後の流れ

限度額適用認定証を発行し、病院の窓口で提出すると支払いは自己負担限度額までになります。
有効期限は協会が申請を受け付けた日が属する月の1日(資格を取得した月の場合は資格取得日)から1年間です。有効期限がくると返却をしてくださいというお知らせがきますので、なくさないようにしましょう。

窓口で自己負担分支払い後、高額療養費を申請した場合は、約3ヶ月後に払い戻されます。健康保険組合独自の付加給付がある場合はその金額も含めて払い戻されます。

まとめ

正直子どもが急に入院して、入院準備やらでバタバタしている時には限度額適用認定証を発行するという発想までいきつきません。
退院までに間に合うケースも少ないでしょう。
発行したからといって必ずしも病院で限度額適用認定証を提出しなければならないものでもないので、心配な方は発行しておくといいと思います。

子どもの入院費は子ども医療費助成もあり、高額になるケースは少ないと思います。しかし、子ども医療費助成があったとしても県外で入院した場合は、一旦自己負担する必要があります。
実際ひよママは大きな病院への転院を繰り返したこともあり、はじめの自己負担額は痛かったです。
病院には、お金のことを相談できるところもあるのでそういった窓口に相談するのもいいと思います。